このページのポイント
- 変形性股関節症とは: 股関節の軟骨がすり減って炎症や変形が起こる病気です。
- 発症しやすい人: 日本では、股関節の受け皿が浅い「臼蓋形成不全」を背景に起こることが多く、特に女性に多くみられます。
- 代表的な症状: 徐々に進行していく病気。初期は違和感や小さな痛みから始まり、悪化すると歩行や生活動作にまで支障が出ます。
- 受診と治療の流れ:問診・身体診察・レントゲンを中心に、必要に応じてMRIやCTも行います。治療はまず保存療法を行い、続けても痛みが強い場合に手術を検討するのが基本です。
- セルフケアも重要: 股関節に負担をかけないことが進行予防に役立ちます。体重管理、適度な運動など日々のセルフケアを。

聞き手 所 幸子さん
埼玉県所沢市在住の70歳専業主婦。定年後の夫と二人暮らしで、独立した子どもや孫5人と交流が盛ん。ガーデニングや国内旅行、孫との時間を生きがいにしている。家族に迷惑をかけず元気でいたいと願う一方、3年前から続く右股関節の痛みが悪化し、将来への不安を抱えながら人工股関節手術を検討している。
(※本稿に登場する所幸子さんは架空の人物です)
変形性股関節症の概要
「最近、歩くときに足の付け根が痛む」「立ち上がるときに股関節が引っかかる気がする」といったお悩みはありませんか?
それは、放置すると生活に大きな影響を及ぼしかねない「変形性股関節症」のサインかもしれません。
まずは、この病気がどのようなものなのか、基本から見ていきましょう。
変形性股関節症の基礎知識
変形性股関節症とはどのような病気ですか?
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こることで痛みや動きにくさが生じる病気です。
発症年齢は平均40〜50代であり、日本では男性よりも女性に多く見られ、その比率はおそらく1:9以上ではないかと考えられています。(*1)
また、レントゲン検査の結果、股関節症と診断される比率は男女合わせて1.0~4.3%であり、そのうち男性が0~2.0%、女性が2.0~7.5%という報告もあります。(*2)
もう少し、疾患について詳しく教えてください。
そもそも股関節は、骨盤のくぼみ(寛骨臼<かんこつきゅう>)と太ももの骨の先端(大腿骨頭<だいたいこっとう>)がかみ合って構成されており、歩く、立つ、座るといった日常の動作を支える重要な関節です。
健康な股関節では、骨の表面が軟骨で覆われています。
軟骨の役割は、簡単にいえば“クッション”のようなもの。軟骨が骨の表面を覆うことで骨と骨が直接ぶつかり合うことが少なくなり、関節が滑らかに動くのです。
しかし、加齢や関節への負担などによって軟骨が徐々にすり減ると、骨同士が直接こすれるようになり、痛みや炎症が起こります。
さらに進行すると関節の形が変形し、股関節の動きが制限されるようになります。
こうした病態が変形性股関節症です。


命に関わるような、危険な病気なのですか?
変形性股関節症は命に関わる疾患ではありませんが、発症するとADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)を低下させるリスクがあります。
さらに、長期間にわたって進行する慢性疾患であるため、それぞれの状況に応じて適切に対応することが必要と考えられています。
(*1) 日本社会福祉学会 第59回秋季大会
(*2) 日本整形外科学会
股関節の軟骨の摩耗により関節の変形・炎症が引き起こされ、疼痛や歩行障害、日常生活に支障をきたす疾患が変形性股関節症です。
加齢に伴い徐々に進行する疾患ですが、早期に診断、治療を開始することでその進行を抑えることができます。
股関節の違和感、痛みがある方は以下の初診予約ボタンからお気軽にご相談ください。
変形性股関節症はどんな人に多いか
変形性股関節症は、誰もが同じ理由で発症するわけではありません。
日本ではどのような人に多く見られるのか、そのリスクや傾向について詳しく解説します。
発症の原因・リスクを高める要因
変形性股関節症を発症しやすいのはどんな人ですか?
変形性股関節症には以下の通り2つのタイプがあり、それぞれのタイプによって発症のリスク要因が変わってきます。
- 一次性変形性股関節症
原因がはっきりしないもの。加齢変化、体重増加、股関節への過負荷などが原因として考えられる - 二次性変形性股関節症
先天異常や後天的な疾患を原因として発症するもの (*3)
これらのうち、日本で多いのは二次性です。
変形性股関節症の患者のうち、約80〜90%が二次性という報告もあります。
何次性かどうかは、原因がはっきりしているかどうかで決まるのですね。
「先天異常や後天的な疾患」とはどのようなものですか?
先天異常の代表に、臼蓋(きゅうがい)形成不全という疾患があります。
先述したように、股関節は大腿骨頭と、寛骨臼によって構成されていますが、なかには生まれつき、寛骨臼の発達が不十分な人がいます。
そうなると、寛骨臼の上部(臼蓋)が浅くなったり小さくなったりして、大腿骨頭をすっぽり覆うことができなくなります。
そのため股関節の安定性が損なわれ、将来的に変形性股関節症を引き起こしやすくなります。


「後天的な疾患」にはどのようなものがありますか?
大腿骨頭(だいたいこっとう)壊死症、化膿性股関節炎、大腿骨頭すべり症、股関節脱臼骨折などの外傷、寛骨臼大腿骨インピンジメントなどの疾患が考えられます。
これらの疾患はすべて大腿骨周辺で起こるため、結果的に大腿骨への負荷が高くなり、変形性股関節症を引き起こすのです。
過去のケガなども影響しますか?
はい、たとえば過去に起きた骨盤の骨折、大腿骨頸部骨折など外傷によって関節の構造にダメージが残っている場合、関節への負担が増えやすくなります。
一次性変形性股関節症はなぜなるのですか?
まず大きな要因として挙げられるのが加齢です。
年齢を重ねると、股関節の表面を覆っている関節軟骨は少しずつ摩耗してきます。
それにより、関節にかかる衝撃が強くなって関節への負担が蓄積しやすくなり、高齢になるほど変形性股関節症を発症するリスクが高まると考えられています。
そのほかには?
肥満も重要なリスク要因の一つです。
股関節は体重を支える関節であるため、体重が増えるほど関節にかかる負担は大きくなります。
また、激しいスポーツや重労働など、股関節に強い負荷が繰り返しかかる生活環境も発症のリスクを高める要因となります。
(*3) 公益社団法人 日本理学療法士協会 理学療法ハンドブックシリーズ 17 変形性股関節
変形性股関節症は一次性(原因がはっきりしないもの)と二次性(何らかの原因によって引き起こされるもの)に分類されます。
日本では発育性股関節形成不全などを背景とした二次性が多いとされています。
体重増加による関節への負担増加や大腿骨の骨折歴なども変形性股関節症の原因となります。
症状チェックでわかる変形性股関節症の進行状況
股関節の痛みを「ただの疲れや年齢のせいだろう」と放っておくと、気づかないうちに症状が悪化してしまうこともあります。
治療のタイミングを逃さないためにも、ご自身の今の状態を、進行の仕方と照らし合わせてチェックしてみましょう。
症状の変化と日常生活への影響
変形性股関節症はどのように進行していくのですか?
変形性股関節症の症状は、突然強く現れるというよりも、長い時間をかけて少しずつ進行していくのが特徴です。
はじめはわずかな違和感から始まることが多く、症状が軽いために気づかないまま過ごしてしまう人も少なくありません。
しかし、関節への負担が続くことで徐々に痛みや動きの制限が強くなり、やがて日常生活にも影響が出てくることがあります。
初期にはどのような症状が見られるのですか? どこが痛むのですか?
はじめは朝起きて動き始めたときや、長時間座ったあとに立ち上がるときなどに、股関節に少し痛みや重だるさを感じることがあります。
そのほか、以下の症状が見られることもあります。
- 長く歩いたあとや階段を上り下りしたあとなどに痛みや違和感を覚える
- 歩き始めると痛みが消える
- おしりやすねなどに痛みや違和感がある
気をつけたいのは、この段階では症状が持続しないことが多いということです。
そのため普段の生活に大きな支障はなく、「年齢のせい」「疲れているから」などと放置してしまう人が少なくありません。
しかしこうした油断が、症状の進行につながってしまいます。
そのまま放置すると、どうなるのですか?
放置すると進行期になり、歩いているときや動作をしているときなどに痛みが強くなり、かがんで靴下を履いたり、足の爪切りをしたりすることが難しくなります。
また、和式のトイレを使ったり、正座をしたりするのも困難になります。
どんな痛みが出るのですか? 痛みの特徴は?
立ち上がるときや動作を始めるときなどに感じる痛みを「始動痛」といい、初期ではこの時間が非常に短いのが特徴です。
しかし進行するにつれて痛みを感じる時間が長くなり、日常生活に支障が出始めます。
そのほか股関節の動きも悪くなるので階段を登ったり、バスを乗り降りしたりするときにも不便を感じるようになり、手すりが必要になります。
さらに、股関節の機能が低下することで、歩く際に体を左右に揺らすような歩き方になることもあります。
歩き方も変わってくるのですか?
はい、変形性股関節症が進行すると、肩を前に出してすり足になったり、足を引きずるようにして歩いたりするようになります。
こうした歩き方を跛行(はこう)といいます。
これは、変形性股関節症が進行した際にみられる代表的な症状のひとつです。
末期になるとどうなるのですか?
股関節の動きが大きく制限され、足の付け根を十分に伸ばすことができなくなります。
膝が外側を向いた状態になりやすく、関節の変形によって左右の足の長さにも差が生じることがあります。
そのためこれまで履いていたズボンなどの丈が合わなくなることもあります。
また、体を動かしたときだけでなく、安静にしているときにも痛みを感じるようになり、歩行自体が難しくなることがあります。(*4)
痛みや生活動作のほか、どのような影響がありますか?
慢性化した痛みや、思い通りに動けないことが影響し、変形性股関節症を含む変形性関節症の人はうつ病を発症しやすいことが指摘されています。
海外の大規模調査によると、変形性関節症を含む関節炎を抱える成人の約12%がうつ症状に悩んでおり、これは関節炎のない人(4.7%)の2倍以上の発症率です。
また、別の研究では、手術を検討する段階にある末期の変形性関節症(OA)患者に限定しても、約12.2%がうつ病を併存していることが示されています。(*5)
(*4)整形外科シリーズ 「変形性股関節症」
(*5) Neuropsychiatr Dis Treat. 2022 Feb 22;18:375–389.
変形性股関節症は徐々に進行していく疾患です。
初期は違和感、動作時の痛みで始まります。その後は徐々に歩行障害と痛みが出現し、股関節の動かしにくさも出現することで日常生活動作に影響が出てきます。
さらに症状が長期間に及ぶと、精神面にも影響するため早期に整形外科を受診することが大切です。
早めに治療を始めることが、進行を食い止める第一歩となります。まずは専門医のもとで診察を受けてみましょう。
変形性股関節症が発症するメカニズム
そもそも、なぜ股関節の軟骨はすり減ってしまうのでしょうか。
骨と骨の間でクッションの役割を果たしている軟骨の重要性について、専門医の解説をもとに紐解いていきます。
変形性股関節症と軟骨の関係性
変形性股関節症は軟骨がすり減ることで発症するとのことですが、そもそも軟骨がすり減るとはどういうことですか?
股関節は大腿骨頭が寛骨臼(臼蓋)にすっぽりはまることで構成されていますが、この骨頭や寛骨臼の表面は、厚さ2〜4mmの軟骨で覆われています。
たとえば、機械のベルトなどに使われているゴムも、繰り返し使われるとどんどんすり減り、薄くなってしまいますよね。
骨頭や寛骨臼を覆っている軟骨にも同じことが起きるのです。
特に加齢によって軟骨の弾力が低下すると、関節のクッション機能が弱くなり、摩耗しやすくなります。


なぜ、加齢によって軟骨の弾力が低下するのですか?
軟骨の主な成分は水分であり、そのほかコラーゲンや、たんぱく質のひとつであるプロテオグリカンなども含まれています。
高齢になると、皮膚がカサカサになったり、弾力がなくなったりしますが、軟骨でも水分量やコラーゲンの成分が減ってしまいます。
そのため弾力が低下するのです。
変形性股関節症は日本人女性に多いと聞いたのですが、それはなぜですか?
変形性股関節症には臼蓋形成不全が関係していることが多いのですが、そもそも日本人には臼蓋形成不全の人が多いことがわかっています。
研究により、日本人の成人男性のうち0〜2%、女性の2〜7%が臼蓋形成不全と言われています。
つまりもともと日本人は変形性股関節症を発症しやすい国民と言えるのです。
軟骨がすり減ると、関節の中ではどんなことが起きるのですか?
軟骨がすり減ると、骨同士が直接こすれやすくなります。
その刺激によって関節の周囲に炎症が起こり、痛みや腫れが生じます。
さらに進行すると、骨の縁に「骨棘(こつきょく)」と呼ばれる突起ができたり、関節の形そのものが変形したりします。
こうした変化が重なることで、股関節の動きが悪くなり、痛みも徐々に強くなっていくのです。


変形性股関節症は、股関節を覆う軟骨が長年の負担や加齢によってすり減ることで起こる病気です。
軟骨の弾力が低下すると衝撃を吸収する力が弱まり、骨同士がこすれて炎症や痛みが生じます。
さらに進行すると骨棘ができたり関節が変形したりして、股関節の動きが悪くなります。
また、日本人女性に多い臼蓋形成不全などの体の特徴も発症に関係します。
ご自身の状態を把握し、早めに治療を始めることで進行を抑えることができますので、まずは検査から始めてみましょう。
変形性股関節症の検査方法と診断
股関節の痛みが気になって整形外科を受診し、変形性股関節症が疑われる際、どのような手順で診察が行われるのでしょうか。
ここでは、適切な治療への第一歩となる、問診や検査の流れを具体的にご紹介します。
実際の受診の流れをチェック
変形性股関節症は、どのように診断されるのでしょうか?
診断は主に問診や診察、画像検査によって行われます。
通常は問診や診察の結果、変形性股関節症が疑われる場合には画像検査へ進みます。(*6)
問診では、どのようなことを聞かれるのですか?
問診では、股関節の痛みがいつ頃から始まったのか、どのような動作で痛みが出るのかなどを詳しく確認します。
たとえば、歩くときに痛むのか、長時間座った後の立ち上がりで痛むのかなど、できるだけ具体的に質問します。
また、日常生活で困っている動作や、過去の股関節のけが、家族歴などについても確認し、症状の背景を把握します。
その後はどんな検査をするのでしょうか?
次に行うのが身体診察です。
股関節を実際に動かして、関節がどのくらい動くか、どの動きで痛みが出るかを確認します。
さらに、脚の長さに差がないか、歩き方に異常がないかなどもチェックし、股関節の機能やバランスを評価します。
それで変形性股関節症が疑われる場合には、画像検査を行うのですね。
診断の中心となるのがレントゲン検査です。レントゲンでは、股関節の隙間の広さや骨の形を確認し、関節軟骨がすり減っていないか、骨の変形や骨棘ができていないかを調べます。
これによって、変形性股関節症かどうか、またどの程度進行しているのかを判断することができます。
レントゲン以外の検査をすることもありますか?
診断は多くの場合、レントゲンで十分ですが、必要に応じてMRIやCT検査を行うこともあります。
MRIは、関節の変形具合やすり減りの程度を調べるのに有効です。
またCTでは、寛骨臼や大腿骨の形態、寛骨臼形成不全の程度、骨棘の位置や大きさなどを詳しく調べることができます。
変形性股関節症の診断は、問診、身体診察、画像検査を組み合わせて行われます。
問診では痛みの始まりや日常生活で困っている動作などを確認し、診察では股関節の動きや歩き方、脚の長さの違いなどを評価します。
そのうえでレントゲン検査を行い、関節の隙間の狭まりや骨の変形の有無を調べ、病気の有無や進行度を判断します。
必要に応じてMRIやCT検査を追加し、より詳しく股関節の状態を確認します。
変形性股関節症の保存療法と手術療法
変形性股関節症と診断された場合、どのような治療をするのか?完治するのか?
気になる治療の選択肢について、専門医の解説とともに詳しく見ていきましょう。
進行度に合わせた治療アプローチ
変形性股関節症はどのくらいで治るのですか?
そもそも変形性股関節症の治療においては、一度すり減った軟骨が元に戻ることはなく、進行を遅らせる保存療法か、痛みをなくす手術を検討することになります。
これらの治療にかかる期間は、病態や症状によって異なります。
まず変形性股関節症の治療では、保存療法から始めるのが一般的です。
保存療法とは手術を行わない治療法のことをいいます。
具体的には痛み止めを目的とする薬物療法、リハビリテーションによる運動療法、生活習慣の見直しなどがあり、これらを組み合わせながら症状の改善を目指します。
保存療法について、もう少し詳しく教えてください。
代表的なものは、薬による治療と運動療法です。
薬物療法では消炎鎮痛薬などを用いて痛みや炎症を抑えます。
一方、運動療法では股関節周囲の筋肉を鍛えることで関節への負担を減らすことを目指します。
自己流の運動とは違い、運動療法は理学療法士の指導のもとで、無理のない範囲でストレッチや筋力トレーニングを行うため、安全に痛みの軽減や動きの改善が期待できます。
「生活習慣の見直し」とは、どういうことをするのですか?
たとえば体重管理を行うことで、股関節にかかる負担を減らすことができます。
また、重い物を持たない、椅子を使った生活を心がけるなど、関節に負担の少ない動き方を意識することも症状の改善につながります。
保存療法で改善しない場合はどうなるのでしょうか?
保存療法を続けても痛みが強く、歩行や日常生活に支障が出ている場合には、手術を検討することがあります。股関節の状態や患者さんの年齢、生活スタイルなどを総合的に考慮しながら、手術が必要かどうかを判断します。
変形性股関節症の多くの患者さんは痛み止めの内服や外用で治療されています。
その上で医師から運動してください、ダイエットしてくださいと言われてはいるものの、どうしていいか分からず過ごしている患者さんが多いと感じています。
やみくもに運動するのではなく、まずは専門の知識のある理学療法士に相談して、正しく効率の良い運動をすることが大切と考えます。
どのような手術が行われるのですか?
手術にはいくつかの種類があります。
まず骨切り術とは、関節の一部を切り取って移動させることで体重のかかり方を変え、関節を安定する手術です。
これは自分の関節を温存できるというメリットがありますが、軟骨が十分に保たれているということが条件になるため、一般には40歳くらいまでの方が対象になります。
ただし、状態によっては50代前半でも受けられることがあります。


もっと病態が進んでいる人はどんな手術を行うのですか?
軟骨のすり減りが激しく、関節の変形が進んでいる場合には、人工股関節置換術という手術が行われることがあります。
これは傷んだ股関節を人工関節に置き換える手術で、痛みの軽減や歩行機能の改善が期待できます。


保存療法で改善がなく日常生活に支障をきたしている場合に手術療法を視野にいれます。
医師は患者さんの生活背景、年齢、股関節の状態を総合的に判断して患者さんと相談しながら手術の内容(骨切り術や人工股関節置換術など)を決定します。
日常生活でできる変形性股関節症のセルフケア
ゆっくりと進行するからこそ、病院での治療だけでなく「セルフケア」も重要です。
日常生活における具体的な対策や、意識すべきポイントを整形外科専門医が解説します。
症状を悪化させないためのポイント
変形性股関節症と診断された場合、日常生活で気をつけることはありますか?
大切なのは、股関節に過度な負担をかけないことです。
長時間の立ち仕事や深くしゃがむ動作などは、股関節への負担が大きくなるため注意が必要です。
また、痛みを我慢して動き続けると症状が悪化することもあります。
痛みが強いときは休息を取り、負担の少ない生活動作を意識することが大切です。
そのほか、気をつけることはありますか?
体重管理も重要です。
体重を適正に保つことで関節にかかる力を減らし、痛みの軽減や進行の抑制につながる可能性があります。
肥満が気になる方は、適正体重に戻すことを目指しましょう。
運動はしても大丈夫なのでしょうか?
痛みの程度にもよりますが、一般に、進行を緩やかにしたり、悪化を予防したりするためには適度な運動が必要と考えられています。
なぜなら運動をすると股関節の柔軟性が高まり可動域が広がって、股関節の負担が軽減されるから。
また筋力を強化することで関節の負荷が軽減し、症状の改善効果も期待できます。
特に太ももやふくらはぎ、おしりの筋肉を鍛えることが有効です。また運動するときには水中ウォーキングなど、股関節に負担の少ないプログラムを選びましょう。(*7)


日常生活の過ごし方では、どんな工夫が必要ですか?
痛みの程度にもよりますが、一般に、進行を緩やかにしたり、悪化を予防したりするためには適度な運動が必要と考えられています。
なぜなら運動をすると股関節の柔軟性が高まり可動域が広がって、股関節の負担が軽減されるから。
また筋股関節への負担を減らす動作を意識することが大切です。
たとえば座り方を考えても、「正座をする」といった和式の生活よりも、「椅子に座る」という洋式の生活の方が股関節への負担は少なくなります。
椅子に座ると股関節が痛い場合は、股関節が深く屈曲して関節内の圧力が高まっているためと考えられます。
その際は少し高めの椅子に座ると良いでしょう。
それから、受診のタイミングを見逃さないことも大切。
変形性股関節症はどんどん進行する病気なので違和感を覚えたら早めに受診することを心がけましょう。
変形性股関節症の進行予防のためのセルフケアの基本は日々の股関節への負担を減らすことです。
まず体重を適切に保つことが大切です。
また筋力強化と柔軟性の獲得のために運動も大切ですが、股関節に負担のすくない運動を選択する必要があります。
水中歩行やエアロバイクはおすすめです。
さらに長時間の立ち仕事は控え、椅子を積極的に使用し、歩行時に杖を使用することもおすすめです。
まとめ
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが少しずつ進んでいく病気です。
日本では臼蓋形成不全を背景とした二次性が多く、特に女性に多くみられます。
初期は違和感や動き始めの痛み程度でも、進行すると靴下を履く、階段を上る、長く歩くといった日常動作が難しくなります。
診断は問診、身体診察、レントゲンなどで行い、治療は保存療法から始め、必要に応じて手術を検討します。
進行を遅らせるには、体重管理や運動、生活動作の工夫など日常のセルフケアも重要です。
変形性股関節症のポイント整理
- 変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って炎症や変形が起こる病気
- 日本では一次性より、臼蓋形成不全などを背景とした二次性が多い
- 初期は違和感や始動時痛から始まり、進行すると歩行や生活動作に支障が出る
- 診断は問診、身体診察、レントゲンを中心に、必要に応じてMRIやCTも行う
- 治療はまず保存療法を行い、痛みや障害が強い場合に手術を検討する
- 体重管理、適度な運動などのセルフケアが進行予防に役立つ
変形性股関節症は軟骨の摩耗が原因で起こる疾患です。
日々の体重管理、適切な運動の継続、椅子や杖の使用などでその進行を遅らせることが可能です。
長い人生をご自身の足でしっかりと歩んでいくためにも、日々のセルフケアが大切なのです。
股関節に違和感・痛みを感じたら、整形外科を受診してください。適切な診断を受けて早期に治療を開始してください。
早めの受診で、股関節の健康を守りましょう
股関節の痛みや違和感を覚えたら、ご自身で判断せず、まずは正しい診断を受けることが大切です。
悪化する前に適切な治療を行うことは、QOL(生活の質)を保つ大切なステップです。
当院では、股関節の専門医が丁寧に診察いたします。お悩みの方はどうぞお気軽にご相談ください。

