このページのポイント
- 変形性膝関節症とは: 軟骨がすり減り、関節に炎症が起こることで痛みや動かしにくさが出ます。進行すると日常生活に大きな支障が。
- 膝関節の構造と役割: 体重を支え衝撃を吸収する役割を担っており、日々大きな負荷を受け止めています。
- 発症しやすい人: 特に中高年や女性に多くみられます。肥満、筋力低下、O脚、過去のケガなども関係します。
- 進行と受診の目安:軟骨は一度すり減ると元に戻らず、徐々に進行します。周囲から歩き方を指摘されたり、痛み止めが効かない場合は早めの受診を。
- 受診と検査の流れ: 問診や触診に加え、レントゲン撮影で骨の状態を確認。必要に応じて軟骨や半月板を詳しくみるMRIを行います。
- 治療の種類: 薬や運動などの「保存療法」から始め、それでも改善せず日常生活に大きな支障がある場合は手術を検討します。
- セルフケアの重要性: 体重管理や生活習慣の改善のほか、膝に負担のかかりにくいトレーニング・運動も効果的です。

聞き手 川田 一郎さん
埼玉県川越市で農業を営む65歳男性。妻や長男家族と同居し、元気に作業を続けてきたが、5年前から右膝の痛みが進行し、治療に専念することを決断。しかし最近では注射の効果も薄れてきたため、少しでも早く農作業へ復帰したいと人工膝関節手術を現実的に検討している。
(※本稿に登場する川田一郎さんは架空の人物です)
変形性膝関節症の症状
膝関節の痛みで考えられる疾患のなかでも、代表的なのが「変形性膝関節症 」です。
一体どのような病気なのか、整形外科専門医がわかりやすく解説します。
病気の基本概要をチェック
変形性膝関節症とは、どのような病気ですか?
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こることで、痛みや動かしにくさが生じる病気です。
特に中高年以降に発症リスクが高まり、男女比を見ると1:4で女性に多いことがわかっています。(*1)
変形性膝関節症は二つに分類され、明らかな原因がないものを「一次性」、病気やケガなど原因が明らかなものを「二次性」といいます。
日本では「一次性」が大半を占めています。
もう少し、わかりやすく教えてください。
膝関節の表面は軟骨で覆われており、これがクッションの役割を果たしています。
つまり、軟骨があるおかげで骨と骨がぶつかり合う時の衝撃が吸収され、骨同士が滑らかに動くことができるのです。
しかし、加齢や長年の負担などによって軟骨がすり減ると、骨と骨が直接ぶつかるようになり、膝をスムーズに動かしづらくなります。
また、すり減った軟骨の破片が関節の内側を覆っている滑膜(かつまく)という組織を刺激し、炎症を引き起こします。
そのため膝周辺に強い痛みが生じるのです。


どんな症状が出るのですか?
主な症状は膝の痛みで、進行すると膝に水が溜まる、膝がまっすぐ伸びなくなる、歩行が困難になるといった症状が見られます。
さらに進行すると、関節の形が変わり、脚の変形が目立ってくることもあります。(*1)
膝の痛みというと半月板損傷もよくあるケガだと思いますが、変形性膝関節症とどう違うのですか?
半月板損傷は、膝の内側にある半月板という組織が傷つくことで起きるもの。
一方変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで起きるもの。
どちらも軟骨が関係しており、膝痛という症状は似ていますが、メカニズムが異なります。
変形性膝関節症は命に関わるような、重大な病気なのでしょうか?
直接命に関わる病気ではありませんが、放置すると日常生活が大きく制限され、QOL(生活の質)が低下する可能性があります。
歩行や立ち座りがつらくなればおのずと活動量も減り、筋力や体力が落ちてしまいますから、ロコモティブシンドロームの進行にもつながります。
膝が痛いと「歳のせい」と片付けてしまう人も多く見られますが、変形性膝関節症の場合は放置すると軟骨のすり減りが進み、症状が悪化してしまいます。
安易に考えず、早めに向き合うことが大切です。
まとめ
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで炎症や変形が起こり、痛みや動かしにくさが生じる病気です。
中高年以降に多く、特に女性に発症しやすいことが知られています。
進行すると痛みのほか、膝に水が溜まる、膝が伸びにくくなる、O脚が目立つ、歩きづらくなるといった症状が現れます。
放置すると活動量が減って筋力や体力が低下し、生活の質の低下につながるため、早めに受診して適切に対処することが大切です。
(*1) 公益社団法人 日本整形外科学会
変形性膝関節症により膝痛を生じて、日常生活に支障が生じたり、行きたい旅行や観光に行けなくなったり、仕事を変える必要が生じたり、という方々には人工膝関節置換術がおすすめです。内服や注射による簡便な治療を行っても改善がみられない場合は仕事を変えたり、行きたい旅行を諦めたり、日常生活を縮小したりせずに、人工膝関節置換術を行なって膝痛を解消して、元の活動、希望する活動を行うことが可能です。
膝の痛みや動かしにくさでお悩みの方は、専門医に相談しご自身の状態を把握しましょう。所沢白翔会病院 整形外科 人工関節部門は、紹介状なしでも初診予約が可能です。
膝関節の構造と役割を理解する
歩く、しゃがむといった何気ない日常生活の動作において、膝はどのような役割を果たしているのでしょうか。
ここでは、膝の構造から特徴、そして負担のかかり方まで、詳しくご紹介します。
膝関節のメカニズムとは
膝関節は、どのような構造をしているのですか?
膝関節は、太ももの骨である大腿骨、すねの骨である脛骨(けいこつ)、膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨でできています。
また、大腿骨と脛骨の間には半月板があり、体重の負担を分散する役割を担っています。
さらに、靱帯や周囲の筋肉が膝の安定性を保っています。
このように、膝関節は非常に複雑な構造をしており、それぞれが協調して動くことで滑らかな動きが実現しているのです。
膝関節の役割はなんですか?
膝関節は主に3つの役割を担っています。
一つ目が体重を支えるということ。膝にかかる負担は非常に大きく、特に肥満の人は膝にかかる負担が増加します。
肥満の人が膝を傷めやすいのはそのためです。


他の役割はなんですか?
二つ目は、衝撃を吸収するということです。
ジャンプで着地したり、階段を下りたりするときのように、膝に瞬間的に大きな力がかかる場面では、体に大きな衝撃が加わります。
その衝撃を半月板が受け止め、周囲に分散させることで、関節への負担を減らしています。
また軟骨や、太ももの前側の筋肉である大腿四頭筋なども、関節への衝撃を吸収したり、緩和したりする役割を担っています。
三つ目の役割は、歩く、走る、屈むといった動きをスムーズに行うということです。
こうした滑らかな動きが可能なのは、膝が蝶番(ちょうつがい)のような形状の関節であるため。
これには膝蓋骨が大きく貢献しています。
つまり、膝蓋骨が滑車のような役割を果たし、膝を伸ばすときに筋肉の力を効率よく伝えるために、膝は滑らかに動くのです。


膝はなぜ傷みやすいのですか?
膝は体重がかかる関節であり、しかも毎日の歩行や立ち座りで繰り返し使われます。
そのため、加齢や体重増加、筋力低下、O脚、外傷などの影響を受けやすく、軟骨や半月板に負担が蓄積しやすい構造といえます。


まとめ
膝関節は、大腿骨、脛骨、膝蓋骨の3つの骨を中心に、半月板や靱帯、筋肉などが連携して働く複雑な関節です。
体重を支える、衝撃を吸収する、歩く、走る、屈むといった動きを滑らかに行うという重要な役割を担っています。
その一方で、膝には日常的に大きな負荷がかかるため、加齢や肥満、筋力低下、O脚、外傷などの影響を受けやすく、傷みやすい関節でもあります。
変形性膝関節症になりやすい人
加齢による体の変化をはじめ、膝の痛みを引き起こす要因は日常生活に潜んでいます。
変形性膝関節症を発症しやすい人にはどんな特徴があるのか、チェックしていきましょう。
発症リスクを高める共通点
変形性膝関節症になりやすいのは、どんな人ですか?
まず、リスクが高いのは高齢者です。
年齢を重ねると軟骨は弾力を失い、すり減りやすくなります。
一般に変形性膝関節症は高齢になるほど多く発症するとされています。
特に女性はホルモンバランスの影響や、膝を支える筋力が少ないことなどが関係して、発症リスクが高いとされています。
また近年では男女問わず、中高年以降のスポーツ愛好家が増えています。
こうしたことも膝にかかる過負荷となり、変形性膝関節症の患者数増加につながっていると考えられます。(*2)(*3)。
年齢以外に原因はありますか?
肥満は重要なリスク因子です。
体重が増えると、その分だけ膝への負担が大きくなり、軟骨の摩耗が進みやすくなります。
また、膝への過度な負荷も変形性膝関節症の原因になります。
長時間の立ち仕事、重いものを持つ作業、階段の多い生活、スポーツによる繰り返しの衝撃なども膝に負担をかけ、リスクになります。
ケガが原因になることもあるのですか?
あります。
靱帯損傷や半月板損傷、骨折などの外傷のあと、膝のバランスが崩れることで、将来的に変形性膝関節症が起こることがあります。
また、感染症にかかったあとや炎症性疾患を発症したあとなどに膝関節が傷むケースもあります。(*2)


そのほか、変形性膝関節症の原因になることはありますか?
筋力低下も大きな要素になります。
特に大腿四頭筋が弱くなると、膝関節を十分に支えられなくなり、関節への負担が増えます。
そのため、運動不足や加齢に伴う筋力低下も、変形性膝関節症の進行に関係していると考えられています。
変形性膝関節症の原因は、一つではないのですね。
その通りです。
そのほか、O脚も関係しています。
特に日本人は生活習慣や骨格の影響、筋力の低下などによりO脚の人が多く、膝の内側に負担がかかりやすいとされています。O脚になると変形性膝関節症の発症リスクが4倍になるという指摘もあり、普段から歩き方には注意が必要です。
変形性膝関節症は、加齢だけで起こるわけではなく、体重、筋力、生活習慣、外傷歴、膝の使い方など、さまざまな要因が重なって進行していく病気です。
だからこそ、早い段階で負担を減らす工夫を始めることが重要です。
まとめ
変形性膝関節症は高齢者や女性に多くみられますが、原因は加齢だけではありません。肥満による膝への負担、スポーツや重労働による使いすぎ、ケガの後遺症、筋力低下など、さまざまな要因が重なって発症・進行します。特に大腿四頭筋の筋力低下は膝の安定性を損ない、症状を悪化させる一因になります。
(*2) 公益社団法人 日本整形外科学会
(*3) 笹川スポーツ財団 スポーツライフ・データ2018
変形性膝関節症は一般的に肥満との関連がよく言われています。またO脚が進行した人は改善が難しく、膝が伸びなくなった場合(拘縮)も改善は難しいと言われています。体力が落ちて体重のコントロールが難しくなってきた場合は要注意です。運動習慣がない場合も体力の低下に気づきにくいため、注意が必要です。
ご自身では気づくことのない異変が隠れている場合もあります。専門医の診断を受け、今の状態を正しく把握しましょう。
変形性膝関節症の進行と受診の目安
変形性膝関節症は時間をかけて段階的に悪化していきます。
受診のタイミングを逃さないためにも、「進行のプロセスは?」「完治するのか?」といった疑問に専門医がお答えします。
症状の進行について知る
変形性膝関節症は、どのように進行していくのですか?
一般に、変形性膝関節症は症状の進行状況によってグレード0から4まで5つに分類されます。
このグレードはKellgren-Lawrence分類(KL分類)によって定められ、骨と骨の隙間がどれくらいあいているかなどの数値も評価の目安として定められています。


まずグレード0は正常な膝関節です。軟骨は健康な厚みを持ち、痛みや症状はほとんどありません。
グレード1になると、ごく初期の変化が現れます。
レントゲン検査では、骨と骨の隙間がわずかに狭くなっていますが、全体的にはまだ正常に近い状態です。
自覚症状がほとんどなく、あるとしても軽い違和感程度です。
進行するとどうなるのですか?
グレード2になると、骨と骨の隙間がやや狭くなり、変形性膝関節症と診断されるようになります。
特定の動きをした時に痛みを覚えるようになり、たとえば以下のシーンで症状を感じることが増えてきます。
- 朝、起床時にベッドから立ち上がるとき
- 長時間座ったあとで椅子から立ち上がるとき
- 階段を降りるとき
どこが痛むのですか?
はじめは、膝の内側に痛みを感じる人が多いとされています。
これは、その付近の軟骨からすり減っていくからです。
ただし、膝の外側やお皿のあたりに痛みを感じる人もいるので、注意が必要です。
グレード3になるとどうなるのですか?
グレード3はいわゆる進行期に該当します。
この時期になると、レントゲン画像では骨と骨の隙間がさらに狭くなり、骨の表面が凸凹して見えるようになります。
膝の曲げ伸ばしがスムーズにできない、日常的に膝が痛む、膝が腫れて熱を持ったり水が溜まったりする、といった症状が見られることもあります。
グレード4は末期ということですか?
そうです。
この時期になると骨と骨の隙間がほとんど消失し、膝の軟骨はほぼなくなっています。
そのため骨同士がぶつかり合うようになり、骨の変形も進行してしまいます。
症状も重症化し、安静にしていても痛みが続き、膝がまっすぐ伸びなくなったり、歩行がかなり困難になったりします。
立つ、座る、屈むなど日常生活の動作のほとんどに支障が及ぶようになり、QOLも著しく低下してしまいます。
変形性膝関節症はどのくらいで治るのですか?
患者さんから「いつ治るのですか」と聞かれることも多いのですが、残念ながら、一度すり減ってしまった軟骨は元に戻ることはなく、時間の経過とともにどんどん進行してしまいます。
軟骨には血流がないため、再生する力がありません。
欧米で10年以上にわたって行われた研究では、中年以降で変形性膝関節症と診断された場合には、ほぼすべての例で進行することが判明しています。
さらに変形性膝関節症と診断されていなくても、3か月以上膝痛がある中高年の9割近くが変形性膝関節症へ進行したという報告もあります。 (*4)
我慢するとどうなりますか?
痛みをかばって動かない生活が続くと、筋力が落ちて膝がさらに不安定になります。
その結果、痛みが悪化しやすくなるうえ、反対側の膝や腰、股関節にも負担が広がることがあります。
活動量の低下はロコモや介護リスクの上昇にもつながるため、症状を自覚したら我慢せず、早めに受診するようにしましょう。
まとめ
変形性膝関節症は、初期には軽い違和感や動き始めの痛みが見られますが、進行すると膝の腫れや可動域制限が現れ、末期では安静時にも強い痛みが続くようになります。
一度すり減った軟骨は元に戻らないため、病気は時間とともに少しずつ進行していきます。
我慢して動かない状態が続くと筋力低下やロコモの進行を招き、反対側の膝や腰にも負担が広がります。
(*4) 変形性膝関節症診療ガイドライン
変形性膝関節症の進行は徐々に年単位で進行します。そのため、自分自身では気付かないことも多いですが、身近な家族や友人から変形の進行を指摘される場合も多く見受けられます。周囲の方から「だいぶ進んでるね」「病院に行ったら?」と勧められるような時期はかなり進行している可能性が高く、近隣の信頼できる病院への受診が好ましいと考えます。痛み止めでも疼痛コントロールが困難な場合(進行期〜末期)には人工膝関節置換術が適応となるため、信頼できる医療機関にご相談ください。
一度すり減った軟骨が元に戻ることはありません。早期発見・早期治療のためにも、まずは専門医の診察を受けてみましょう。
変形性膝関節症の検査と診断
病院に行くのは、誰しも少なからず勇気がいるものです。
ここでは、受診した際にどんな検査や診断が行われるのか、専門医が丁寧に解説します。
実際の受診の流れをチェック
変形性膝関節症は、どのように診断されるのですか?
まず問診で「いつから痛むのか」「どんなときに痛みが生じるのか」「腫れや熱感はあるか」「日常生活でどんな動作がつらいか」などを詳しく確認します。
続いて診察では、膝の曲げ伸ばしの範囲、腫れの程度、水の溜まり具合、O脚変形の有無、押したときの痛みの場所などをみていきます。
必要に応じて触診で、膝の内側に圧痛があるかも確認します。
こうした理学所見に加えてレントゲン検査を行い、診断と進行度の評価を行います。(*5)
画像検査ではレントゲン検査が有効なのですね。
はい。
診断の基本となるのはレントゲン検査です。
検査では関節の隙間が狭くなっていないか、骨棘(骨のとげ)ができていないか、骨の変形がないかなどを確認します。
これによって、変形性膝関節症の有無や進行度を判断します。
そのほかにどんな検査を行うことがあるのですか?
変形性膝関節症の診断は、一般に症状やレントゲン検査をもとに行われますが、滑膜の炎症や、関節に水が溜まっている状態、半月板や軟骨の傷みなど、膝の中で起きている変化をより詳しく調べるにはMRIが非常に有用です。
近年では、MRIで見つかる異常と、変形性膝関節症の発症や進行との関係が注目されています。
なかでも、半月板の障害は変形性膝関節症と深く関係していることが多くの研究で示されています。
そうした関係性を調べるために、MRIを行うこともあります。(*6)
進行度はどのように判断するのですか?
一般的には、症状の強さと画像所見の両方を総合して判断します。
ただし、画像の重症度と患者さんの痛みが必ずしも一致しないことも多いため、治療方針を決める上では、実際にどれだけ困っているかがとても重要な指標になります。
まとめ
変形性膝関節症の診断は、問診や診察で症状の出方や膝の動き、腫れ、変形の有無などを確認し、レントゲン検査で関節の隙間や骨の変形、骨棘(こつきょく)の有無を調べて行います。
さらに必要に応じてMRIを追加し、半月板や軟骨、滑膜の炎症など膝の内部の状態を詳しく評価することもあります。
進行度は画像所見だけでなく、痛みの強さや日常生活への影響も含めて総合的に判断します。
(*5) 公益社団法人 日本整形外科学会
(*6) 変形性膝関節症診療ガイドライン
変形性膝関節症の検査にあたっては、全下肢立位のレントゲン検査がおすすめです。O脚の程度も判別し易く、非常に分かりやすいレントゲン写真です。まだ施行したことのない方は、ぜひ撮像可能な病院を探して一度、全下肢立位のレントゲン検査を受けられることをおすすめ致します。
所沢白翔会 整形外科 人工関節部門では、お一人おひとりの状態を見極めながら専門医が丁寧に診察いたします。まずはお気軽にご相談ください。
変形性膝関節症の治療法
膝の痛みや動かしにくさを和らげるための治療方法は、一つではありません。
身体の状態やライフスタイルに合わせた様々な選択肢について、一つひとつご紹介します。
治療の種類を徹底解説
変形性膝関節症の治し方にはどのようなものがありますか?
治療法には大きく分けて、保存療法と手術療法の2つがあります。
まずは保存療法を行い、それでも痛みや生活障害が強い場合に手術を検討します。
保存療法には何がありますか?
主に、保存療法には以下のものがあります。
- 薬物療法
- 運動指導
- 物理療法
- 装具療法
- 運動療法
- 患者教育・生活指導
それぞれの治療内容を簡単に教えてください。
まず薬物療法は、痛み止めや外用薬などを適切に使いながら、痛みや炎症を抑える治療です。
続いて運動指導は、筋力や柔軟性を高めることで関節を支え、痛みや動きにくさの改善を目指すものです。


物理療法は、温熱や電気などを利用して血流を良くし、痛みの軽減を目指す治療のこと。
装具療法は、サポーターや足底板、杖などを使って膝への負担を減らす方法です。
そして患者教育・生活指導は、病気の仕組みを理解し、体重管理や日常生活での注意点を知ることで、症状の悪化を防ぐための支援です。
「患者教育や生活指導」も治療の一部になるのですか?
はい。
変形性膝関節症に限らず、どの病気でも、治療を医師任せにするのではなく、患者さん自身が病気を理解することはとても大切です。
特に変形性膝関節症は少しずつ進行していく病気だからこそ、その仕組みや治療法を知り、自分でも生活習慣の改善や治療に積極的に関わることが重要です。(*7)
変形性膝関節症の保存療法には注射から内服、外用薬までいろいろありますが、好みに応じて使い分けをおすすめしています。変形の軽度な膝、ある程度健康な膝の場合には著効します。逆にこれらの保存治療で疼痛の改善がみられない際は、手術が好ましい可能性が考えられます。
手術はどんなときに考えるのですか? 手術の方法による違いは?
保存療法を行っても改善が乏しく、歩行や階段昇降、立ち座りなどに大きな支障があり、日常生活の質が著しく低下している場合に手術を検討します。
手術には、骨切り術や人工膝関節置換術などがあります。
骨切り術は、膝まわりの骨を切って角度を調整し、体重のかかり方を変えることで、傷んだ部分への負担を減らす手術です。
自分の関節を残したまま痛みの改善を目指せるのが特徴です。
一方、人工膝関節置換術はすり減って傷んだ膝関節の表面を取り除き、金属やポリエチレンなどでできた人工関節に置き換える手術です。
痛みを大きく軽減し、歩行や立ち座りなどの日常動作の改善を目指します。


どのようにして術式を選択するのですか?
患者さんの年齢やライフスタイル、症状などを考慮しながら選択します。
比較的年齢が若い方には骨切り術を、特に痛みが強い方は人工膝関節置換術を行うことが多いとされていますが、どちらの手術にもメリットとリスクがあるので、それらを考慮した上で選択することが重要です。
まとめ
変形性膝関節症の治療は、大きく保存療法と手術療法に分けられます。
まずは薬物療法や運動療法、装具療法、生活指導などを組み合わせ、痛みの軽減と機能の維持を目指します。
それでも改善が乏しく、歩行や階段昇降、立ち座りなどに大きな支障がある場合には、骨切り術や人工膝関節置換術といった手術を検討します。
治療法は年齢や生活スタイル、症状の程度を踏まえ、患者さん自身が理解したうえで選ぶことが大切です。
(*7) 変形性膝関節症診療ガイドライン
変形性膝関節症の手術療法では人工関節置換術が世界中で広く行われています。手術当日もしくは翌日から歩行を開始するため、入院期間も少なく、年々増加傾向の手術方法です。遠方に出かけたり、長距離長時間の歩行をしたり、といったことが不自由なく可能になります。活動範囲が広いために、もしくは現在の仕事を維持するために、どうしても膝痛が生じて困っている方にはおすすめです。
専門医に相談し、自分に合ったベストな治療を。所沢白翔会病院 整形外科 人工関節部門では、紹介状なしで初診予約が可能です。
変形性膝関節症のセルフケア
治療やリハビリの効果を高め、良い状態を長く保つには、日々の過ごし方が鍵となります。
自分らしい本来の生活を取り戻すための、実用的なヒントについて見ていきましょう。
日常生活におけるポイント
日常生活でできることはありますか?
まず大切なのは、膝に負担をかけすぎないことです。
体重管理を心がけ、長時間の立ち仕事や無理なしゃがみ込みを避けましょう。
必要に応じて杖やサポーターを使うことも役立ちます。
また靴はヒールの低い、安定したものを選びましょう。
運動は何をすればよいですか?
ウォーキング、プール歩行、体操、筋力トレーニングなど、膝に過度な衝撃をかけない運動が勧められます。
また、大腿四頭筋を鍛える運動は、膝の安定性を高めるうえで有効です。
特に正しいフォームで行うスクワットは膝周りの筋肉を強化するのに効果的です。
ただし、痛みが強い時は無理をせず、医師や理学療法士に相談しながら進めましょう。


してはいけないことはありますか? 変形性膝関節症と診断されても、できる仕事はありますか?
「痛みが強い日は無理をしない」「体重を増やさない」「膝に負担をかける動きをしない」といった姿勢が大切です。
また、重いものをもつ、立ちっぱなしといった仕事は膝に負担をかけるので、できるだけデスクワークや座り仕事など、膝に負担の少ない仕事を選びましょう。
何科を受診すれば良いのでしょうか?
まずは、整形外科を受診して、必要な検査を受けましょう。
変形性膝関節症は進行性の病気ですが、適切なセルフケアと治療で進行を緩やかにし、生活の質を保つことは十分可能です。気になる症状があれば早めに受診しましょう。
まとめ
変形性膝関節症を悪化させないためには、日常生活の中で膝への負担を減らすことが大切です。
体重管理を心がけ、長時間の立ち仕事や無理なしゃがみ込みを避け、必要に応じて杖やサポーターを活用しましょう。
また、ウォーキングや筋力トレーニングなど膝にやさしい運動を続けることも有効です。
無理をせず、症状に応じて医師や理学療法士に相談しながら、セルフケアを継続していくことが進行予防につながります。
変形性膝関節症のセルフケアには、地味ですが屋内での筋力訓練が効果的です。どうしても散歩したりウォーキングに目が行きがちですが、自宅での筋力訓練に優るものはありません。日々の地道なトレーニングを欠かさないことが一番の近道です。
自宅でのセルフケアの効果を高めるためにも、自己判断せずご自身の状態を正しく知ることが重要です。まずは専門医に相談してみましょう。
まとめ
変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで炎症や変形が起こり、痛みや動かしにくさを生じる病気です。
加齢だけでなく、肥満、筋力低下、O脚、使いすぎ、ケガの後遺症など、さまざまな要因が重なって発症・進行します。
初期には動き始めの痛み程度でも、進行すると腫れや可動域制限、歩行困難を招き、生活の質を大きく低下させます。
診断は問診や診察、レントゲンを基本に行い、必要に応じてMRIも用います。
治療は保存療法が基本ですが、重症例では手術も選択肢になります。悪化を防ぐには、体重管理や筋力維持、膝に負担をかけすぎない生活を早くから心がけることが大切です。
変形性膝関節症のポイント整理
- 膝変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減って炎症や変形が起こる病気
- 高齢者や女性に多いが、肥満、筋力低下、O脚、外傷、使いすぎなども発症に関わる
- 初期症状は動き始めの痛み。進行すると腫れる、水が溜まる、歩行困難などが起こる
- 診断は問診・診察・レントゲンが基本で、必要に応じてMRIを行う
- 治療は保存療法が中心で、改善が乏しい場合は骨切り術や人工膝関節置換術を検討する
- 体重管理、膝にやさしい運動、生活動作の工夫が進行予防と悪化防止につながる
変形性膝関節症は誰もが避けられない、長寿社会の宿命のような疾患です。ただし年々治療法の選択肢は増えており、適切に治療を取り入れることで快適な生活の維持(QOLの維持)が可能になります。信頼のおけるドクターを探し、しっかりと最適な治療について相談することが近道です。
早めの受診で、膝関節の健康を守りましょう
一度すり減った軟骨が元に戻ることはありません。「まだ大丈夫」と我慢せず、専門医の診察を受けて今の状態を知ることが何よりも大切です。
当院では、経験豊富な整形外科専門医が丁寧に診察を行い、お一人おひとりに最適な治療法をご提案します。
また、紹介状がなくても初診予約が可能です。
お悩みの方は、一度お気軽にご相談ください。

